現場も、見積も、営業も、経理も。3代目が継いだ時、会社の仕事は全部、社長の頭の中にあった。それを外に出す作業に、5年かかった。
祖父が一人親方から始めて、父が法人化しました。私が継いだのは34歳の時、社員は7人でした。継いだ瞬間に思ったのは「これ、父がいなくなったら何も分からないな」ということです。見積の根拠も、職人さんとの付き合い方も、全部父の頭の中にありました。
最初にやったのは、父に全部を書き出してもらうことでした。嫌がられました。そんなもの書いても意味がない、現場で覚えるものだと。それでも1年かけて、見積の考え方、材料の選び方、職人さんへの声のかけ方まで文字にしました。書けないことは教えられない。書き出してみて初めて、父も自分が何をやっていたか説明できるようになりました。
今は21人です。私が現場に出るのは月に数回。見積は3人が独立して作れます。売上は当時の3倍になりましたが、一番の変化は、私が2週間休んでも会社が止まらなくなったことです。去年、初めて家族と1週間の旅行に行けました。
建設業で一番きついのは、若い職人が育たないことです。育てるには、育てている間の給料を払える体力が要る。だから利益を出すことは、格好つけではなく生存条件です。3年後に30人、そのうち20代を10人にしたい。数字より、その10人が10年後も残っているかどうかが本当の目標です。
MESSAGE / これから入る人へ
現場は正直きついです。でも、自分が建てたものが50年残る仕事は、そう多くありません。豊橋の街を歩いて、あれもこれもうちだと言える人生は、悪くないですよ。
最終更新:2026年7月29日 / 取材・編集:みかわ社長図鑑編集部